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ちょうど、中学から高校に上がるその頃、突然、僕に不思議な現象がおとずれました。それは、「死」への恐怖でした。もちろん、小学校の時も人間は必ず死ぬということを知っていましたが、別に深く受け止めることもなく、毎日楽しく過ごせていたのです。ところが、この時期になると、すべてが死んでいくという事実に対して恐ろしいほどの恐怖心を持つようになったのです。
テレビの時代劇を見ていても「今はこうしていろいろなドラマがあるけれど、この時代の人達はすべて死んでしまってもういないのだ」早く死のうと遅く死のうと時期の違いだけで、なんと人間はむなしいものだろう。そう思うと生き残ったドラマの主人公もやがて年老いて死んでしまうという事実にストーリーまでむなしくなってしまったのだ。そして、元気に働いている父や母を見ても、「今はこうして元気で生きているけれど、必ず死んでいなくなってしまうのだ。」と考え、いつのまにか、涙があふれてきてしまったのだ。
街を歩いている人達、すべてが100年後には一人もいなくなる。なんだか、夜になると涙が次から次へとこぼれてきた。寝る直前になると、天井がくるくるまわりだすような気がして、あふれる涙とともに、眠れなくなってしまった。どんなに努力してもどんなに考えても無力な自分がまた悲しかった。
そして、一週間くらい毎夜毎夜涙が溢れ続けたのだ。そして、ちょうど涙が流れきった時、不思議な現象がおとずれた。あんなに悲しかった風景がある朝、急に輝き始めたのだ。木の芽も生き生きと輝いている。小鳥達もうれしそうにさえずっている。そう、死ぬことよりも生きていることの輝きとすばらしさに胸が熱くなってきたのだ。今、思っても不思議な朝だった。それ以来、僕は死に対する恐怖心はいっさいなくなった。だからこそ、こうして世界を飛び回ってこられたのかもしれない。
生きている。それは、とても簡単なこと。今、生きていることを大切にしたい。
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