「Always〜3丁目の夕日〜」と「青い山脈」
今、とても楽しみなことがあります。それは11月3日に「Always〜3丁目の夕日〜」の続編が全国公開されることです。去年の3丁目の夕日ブームは凄かったですね。僕も映画を見て感動しましたが、一人の感動がまた次の一人の感動へと広がっていき、自然なかたちで大きなブームに育っていきました。それだけ作品の力があったのでしょう。現代の日本人が忘れかけた思いやり、まごころ、いたわり、いろんな大切な心がそこにありました。ぼくもちょうどその時代に少年時代を過ごしたので、懐かしさと嬉しさで涙が止まりませんでした。
僕が初めて「Always〜3丁目の夕日〜」の監督の山崎貴さんに逢ったのは、下北沢の駅。山崎さんは雨の中、茶色のジャケットに身をつつんで傘をさしながら僕を待っていてくれました。そして2人で近くの喫茶店に入って目を輝かせながら色々な話をしました。山崎さんは映画そのままの人でした。最近は、CG作家の次男・そうたと気があったのか仲良しになり、よくメールでキャラクターを交換したり、一緒に映像作りをしています。そうたも「あんなに偉大な監督なのに、とってもやさしくて人間的で素晴らしい」と嬉しそうに話しています。そのうち2人で画期的なCG作品が世に出たら素晴らしいですね。
ところで、「Always〜3丁目の夕日〜」は日本人が失いかけた大切な心を思い出させる映画ですが、今日たまたまNHK・BSの映画劇場で終戦直後の大ヒット映画「青い山脈」を見て、しみじみ考えさせられました。僕は主題歌の「青い山脈」は大好きな歌の一つで、ステージでもよく歌っているのですが、映画をしっかり観るのは初めてでした。舞台は、日本の終戦直後の田舎町の女学校。当時、絶世の美女と呼ばれた女優・原 節子演ずる新任の英語教師、島崎先生が赴任するところから始まります。女子学生が恋愛することすら禁じられている。そんな田舎町で、島崎先生は戦前の日本の古い因習と戦います。どろどろした人間関係に悩み、自由な恋愛、個人の自由な生き方を求めて戦うのです。その映画では、田舎の土着的な人間の結びつきや、古い習慣が人間の自由を束縛するものとして描かれています。そして島崎先生は新しい自由な時代を夢見てそれらの因習と戦い続けるのです。
僕が感じたのは、時代の移り変わりの怖さかもしれません。そうして人々が個人の自由を求め続けた結果、戦後60年、知らず知らずのうちに人間として、また日本人として大切なものまで壊してしまったのかもしれません。きっと多くの人たちがそれに気がつき「Always〜3丁目の夕日〜」に涙しているのでしょう。たしかに終戦直後は、「青い山脈」はその時代の正義の映画、と言えるでしょう。そして60年経った今、その年月で失った価値を取り戻す映画として、改めて「Always〜3丁目の夕日〜」が次なる正義の映画と言えるのかもしれません。何かを得るということは、一方では、同時に何かを失うこと… 「Always〜3丁目の夕日〜」の公開ももうすぐです。最近は便利な時代になりました。観たい古い映画も簡単に貸しDVDやビデオで鑑賞することが出来ます。できたらこの新旧二本の名作をそんなことを思いながら改めて観るのも楽しいかもしれません。
|