「ビリからのスタート」
人間にとって自尊心はとても大切です。自分自身を尊ぶ気持ちです。
英語ではPrideです。
先日一流大学を出た20代後半のA君から深刻な相談を受けました。
「僕は周囲の期待を一身に背負って浪人して、T大学に入りました。学校生活は楽しかったです。けれども、今になっても本当に自分が何がしたいのか、何をすべきなのか分かりません。現在も一流企業で働いて頑張っているのですが将来のことを考えると絶望的な気持ちになるときがあります。このまま無意味に時が流れてはいけない、ただそう思うだけです。春から会社を辞めて、アメリカに留学して語学学校に通う予定ですが、もちろんその先どうなるか不安だらけです。どうしてすがはらさんはそんなにいつも目を輝かせて前向きにいられるのですか?」と、真剣に問いかけてくるのです。その話を聞いたとき、アっと思いました。このままアメリカに行ったら、きっと挫折するだろう。そう直感しました。
本来、プライドというのは自分を高める意識に働けばよいのですが、ちょっと間違えるとそのプライドが自分を地獄に陥れることもあるのです。最近の学生達は想像以上に高いプライドを持っています。実力がまだないにもかかわらず、プライドだけは高いのです。A君の話を聞いても、これまで何をやっても壁にぶつかり、諦めてしまったというのです。自分が優秀だと思い込んでいる若者にそういう傾向があるようです。
僕はこう答えました。「君は優秀だからいつも優秀でなければ自分が許せないんだよね。勉強はそれでいいかもしれないけれど、仕事は違うんだよ。だれでも最初はビリからスタートしなければいけないんだ。自分がビリだということを自分で認められる人が素直に努力を続けて伸びていけるんだと思うよ。僕も昔は自分より優秀な人たちを見ると、自分がだめだと思い込んでしまった時期もあったけれど、何事も最初はビリからスタートすればいいということに気がついたらとっても気が楽になったんだ。ビリからでもいい、1日1日、しっかりと実力をつけていけばいつの間にか出来るようになるんだ。最初はビリであることは何にも恥ずかしいことじゃないんだ。ビリからスタートするって案外楽しいものなんだよ。時間をかけて出来るようになってくると、益々楽しくなってくる。そして、当たり前の事だけれど、出来るようになるまで何事も諦めないで続ける事。人生これしかないよね。成功だの、失敗だのと他人は言うけれど、そんな事に振り回されず、失敗しても成功するまでやれば結局やり遂げたということになるんだよ。アメリカに行ってもビリからスタートする事を恐れずに、『焦らず、怠けず』頑張ったら必ず次の目標が見えてくると思うよ。さあ、自分自身の人生の本当の意味の出発の時、思い残しのないように精一杯頑張って下さい。」
その言葉が終わらないうちに、A君の顔に笑顔が戻りました。
「なんだか気持ちが軽くなって勇気がわいてきました。ビリからのスタートでもいいんですね。何でも出来そうな気がしてきました!」
プライドを捨てたA君の素顔はとても爽やかでした。A君がんばれ!!
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