第二十六回「ゆうた、酒井法子と中国へ?」

 ある日、僕のところへ思いもかけない依頼が飛び込んできました。中国の全テレビ局が主催で史上最大の歌番組を作る。日本から代表を出してほしい。番組は二部構成で一部は日本と中国のアマチュアボーカリストの代表のコンクール。そして二部は日本、中国そして、アジア各国のトップスターによる歌の共演。日本からは酒井法子が決定しているという。会場はペキンの21世紀劇場。もちろん、二日にわたって中国全土に3時間生番組として中継される。そのビッグプログラムのトリを取るアーティストに僕が選ばれたという。驚いた。香港から選ばれたアーティストも驚くほど有名なメンバーだ。さらに、中国のトップ司会者と組んで司会も頼みたいという。「そ、そんな...僕にできるかな...」一瞬と惑ったけれども、そういえば世界で歌ってきた経験を生かしてとにかくやってみる事にした。

 と、ここまではよくある話だが、プロデューサーの話によると中国のアマチュア代表はほとんど決まっているけれど、青少年の部の日本代表がまだ決まっていないという。僕は、軽い気持ちでゆうたが作曲し、僕が詩を書いた「通学路」という曲を急きょゆうたにレコーディングしてもらい(もちろんボーカルはゆうた)プロデューサーに届けた。なんというゆうたの運の強さ。「すがはらさん!すばらしいですね息子さん!ゆうたさんに日本代表になって酒井法子さんとともに中国に行ってもらいましょう」と弾んだ声で返事が返ってきた。ゆうたが日本代表?その頃のゆうたは本当に普通の高校生。まさか、今のB-DASHになるとは思いもよらない時期です。バンドを連れていくことはできないので、あの大劇場で酒井法子達とともにたった一人でテープで「通学路」を歌うことになってしまったのです。

 さすがに、学校にこんな話をするわけにもいかず、なにか忘れてしまったけれど別の理由で数日間の休みの届けを出して中国に出発した。あの当時、日本のスポーツ紙で「ノリピー中国で大人気!視聴率78%!」と大々的な報道が出されたけれど、その時、実はゆうたも同じ舞台で同じ番組に出演していたのである。

 


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