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Yasunori Sugahara

-「やすのり伝記」-


第二十一回
先生!助けて!

 職員室でおやまのくまさんを歌って以来、「あの子は歌のうまい子」と評判がたってしまった。

 ある日、道を歩いていると買い物かごをさげたおばさんに突然捕まってしまった。おびえていると、「やっちゃん、何か一曲歌って。」と突然、僕に言った。僕が美空ひばりの「越後獅子の歌」を歌うと、うれしそうにお菓子をくれた。あれ?近所でも評判なのかな(笑)それから、今では、想像もつかないけれども小学校の頃の僕はお人形さんのようなかわいい顔をしていたんだ(笑)だから、歌うお人形みたいだったのかな(笑)

 そんな僕だったけど、小学校3年生の時に今も忘れることもない恐怖の体験をした。2年生までは、音楽の先生が小沢先生という女性だったのだが、三年生から石田先生という男の先生に変わった。この先生はいわゆる色男で音楽大学を出ていて、とてもお母さん達に人気があった。
 
 ある日、僕の隣の席の黒田君が音楽の教科書を忘れてきた。僕は黒田君に見せてあげて二人で一冊の僕の音楽の教科書を見ながら歌っていた。すると、突然、石田先生が真っ赤な顔をして僕を怒鳴り付けた。「こら!!教科書を忘れるとは菅原!なんだ?」僕は先生にはっきりと「先生!教科書を忘れたのは僕ではなく、黒田君です。」と答えた。すると、突然、石田先生は僕の右耳をつねり上げてそのままおもいっきり引っ張った。「うるさい!口答えするか!」僕はあまりの耳の痛さに涙が出そうになった。黙っている僕に石田先生が「さぁ!すがはら!ごめんなさいと言え!」とみんなの前で何度も何度も怒鳴りつけてきた。」僕はこういう時は決して負けない。はっきりと「忘れたのは僕ではありません。」と答えた。すると、激しいビンタが僕の頬に浴びせかけられた。

 小さな僕だったが、この時の悔しさは今でも忘れない。僕は本当に忘れていない。嘘をつくことはできない。驚くほど、僕も強情だった。あやまらない僕の耳を引っ張るとそのまま石田先生は廊下に僕をひきずりだし、廊下をスタスタと歩き職員室まで行った。僕は耳がちぎれるかと思った。いつのまにか、大声で泣叫んでいた。「先生!助けて!」職員室に連れ込まれると石田先生は無情にこう言った。「ここに立ってなさい」僕はシクシク泣きながら、職員室のかたすみで立っていた。他の先生達が何ごとかとジロジロと僕を見て行く。

 結局、僕は最後まであやまらなかった。どんなに権力であろうとも、不正に人を支配したり、傷つけてはいけない。今でも僕はそう信じている。その日、ついに僕はあやまらないで帰宅した。その年、5だった音楽の通信簿が1にされていた。それでも僕はかまわなかった。

続く......

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