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太平洋合唱団の誕生は、船の生活にふれあいと潤いを取り戻した。それにしても太平洋の潮風に吹かれながらデッキで声を合わせて歌う日々はなんとも楽しく幸せだった。まさに青春の日々。
僕も太平洋合唱団の手応えに自信をつけ、何かこれからの人生に大きな転換期が訪れているような気がした。これまでは一人の人間はあくまで一人だったけれど、こうして実際に動いてみると人間は一人ではない。行動によっていくらでもふれあいが広がるものであることを信じることができた。もう、太平洋合唱団の仲間は人生の最高の仲間達である。船に乗るまでは、お互いにその存在すら知らない同士だったのに.....。
ある日の夕刻。僕は一人で暮れなずむ太平洋のかなたの空を見ながら甲板にねころんでいた。いつの間にか、甲板からは人影が消え、夕闇が船を包み、一番星が輝きはじめた。さらに暗くなると満天の星が無数に輝きだした。これまで忘れていたけれど、ちょっと見上げればこんなに多くの星が僕たちの頭上で輝き続けていたのだ。いつの間にか僕は宇宙空間の中に身を浸している気持ちになった。
そう、見上げるとそこはまるでプラネタリウム。気持ちよくなってそのまま星空を見ていると驚いたことにいつのまにか、満点の星空が動いていることに気がついた。一時間じっと星空を見てると15度の角度で星空全体が移動しているのがわかった。24時間で自転する地球。そう、確実に一時間あたり15度の角度で空は動いているのだ。満天の星空が動いていることに気がついてから、僕はうれしくなって明け方までずっと星空が動き続けるのを見ていた。まさしく今、僕は宇宙をただよう地球という星の上にいる。体の底からそんな気持ちがわき上がってきた。「人間はこんなにたくさんの星のその中のひとつの地球という星の上で短い一生を送るのだ。」そう思うと自分の命も不思議な気がしてきた。そして、あの無数の星のひとつにでさえも短い自分の一生では行くことができないことがとても悲しく感じられた。しかし、星に身をまかせているうちに僕はうれしいことに気がついた。「そうだ、あの星ひとつひとつに行こうと思うことが間違っていたのだ。あの無数に輝く星々をこの心で感じていっしょに生きていけばそれでいいのだ。」そう気がつくととても心が楽になった。そう、あの宇宙の星々と僕はこれからいっしょに時を刻み、生きていくのだ。
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